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2010年05月14日(Fri)

猫を抱いて像と泳ぐ

猫を抱いて像と泳ぐ 小川洋子さん
★★★★★

上下の唇がくっついて生まれた少年は、
手術で切り開かれた口を滅多に開かず
自分の世界に籠もりがち。

廃バスに住むふくよかな男と出会い
チェスの駒が描く世界の美しさを教わった少年は、
男をマスターと呼び慕うようになる。

チェス盤の下に潜り込んで指す
独特のスタイルで才能を開花させた少年は、
秘密クラブのような場所でからくり人形の中でチェスを指すうち、
偉大なチェス指しの名を拝してリトル・アリョーヒンと呼ばれだす。

盤に向き合って指すことのない少年は、
駒の美しい軌跡を通じてのみ人と交わり、
いつまでもチェスの奥深さを探求し続ける。


チェスのことはよくわかりませんが、
全体に漂うゆったりとした優しい空気が
とても好きでした。

*****

言葉の選び方や世界観がとにかく素敵。
詩的とでも言うのかな。

不思議なタイトルも、
読み終わってみるとぴったり。


それにしても、
移植した皮膚のせいで唇から臑毛が生える。
なんともまあ、すごい設定ですね。

私は何度も出てくる唇という単語から
つい西島隆弘さんを連想してしまったんですが、
この主人公の唇を具体的にイメージするのは、
あまり気持ちいいものではありませんね。

その描写に
はじめは読んでて腰が引けてしまったけど、
マスターとの出会いからは読み進むのが勿体ないほど素敵な文章でした。

少年の居場所はチェス盤の下で、
マスターも少年の家族も連れ出そうとはしない。

悲しい出来事と向き合う場所もそこ。
人と交わるのもチェスを通じて。

それでいいのか。
って疑問が途中で頭をよぎるんだけど、
描かれるチェスの世界が深く美しいもんだから、
自分なりの豊かさを見つられた少年は
幸せなのかなと思えた。

見方によってはひきこもりの話でもあって、
子を持つ親の立場だとどんな感想になるのか
興味が湧きました。

悲しい出来事もいくつか起こって、
しかも多分ハッピーエンドじゃないけど、
読後はあたたかい気持ちが残ります。

立ち止まって考えたいときには、
この本を読み返そうと思う。


posted by Yu-Ki | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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